宇都宮市議会 自由民主党議員会

宇都宮市の将来ビジョン研究会 研究報告・提言書(風格あるまちづくり研究部会)

 

風格あるまちづくり研究部会



《調査実施日 平成20年7月2日・3日》
Ⅰ.宮崎市
 「都市景観について」

調査研究概要
【調査研究事項の概要】
 宇都宮市においては、駅前の景観が日本一悪いという評価をされている現状において、新たな景観条例を策定しようとしている。そのような中において、同じ県庁所在地であり、中心市街地の衰退など同じ悩みを持っている市町村において、景観条例について積極的に行っている市を訪ね、今後の策定に向け参考としたい。
 宮崎市においては、重点景観形成地区を策定したり、景観重要建造物、景観重要樹木の指定の方針を定めたりと、市の全域を網羅する一方、宮崎の観光に寄与する場所や、これまでの歴史が残されている場所、中心地の活性化に寄与する場所など、その場所の役割に応じた、細やかなゾーニングをし、景観行政にあたっていた。
 これからの課題は、条例等の見直し前の既存広告物などへの規制であると考える。 (参考)説明後、重点景観形成地区となっている、橘公園通りなど、現地にて現状を視察させて頂いた。
《調査所見》
 一概に景観という枠を、全市的に当てはめるのではなく、その町や区域、地域などを考慮し、その地にあった細やかな施策が必要である。あわせて、建物や、樹木などその市を表現する個々の物件についても点ではなく、面として保護すべきであり、景観条例はその重要なツールであると考える。

Ⅱ.熊本市
 「都市景観について」

調査研究概要
【調査研究事項の概要】
 熊本市においては、高層建築物などの建設に伴い、市民から住環境との調和を望む声が高まっており、「熊本市都市景観条例」の改正を行う予定である。
 合併による人口増加、政令指定都市を目指す取り組みの一方で、その都市化から、歴史や、町並みを保存することが重要となってきている。
 特に、熊本城の存在を、市民が重要視しており、熊本市のシンボルとして、ほとんどの市民が認知している。その環境の保存について意識が高い反面、中心地の調和の難しさが感じられた。
 特に他市においては、屋外広告物や、樹木などに意識が行きがちだが、熊本市において重要視されているのは熊本城がどれだけ市民の目につくか、見ることができる為には、という視点が強い点である。
 ビルの高さ規制や、ビルの配色など他市に比べて、細やかな配慮がなされている。 〔今後の課題〕
 人口増加、九州西南部の中心として、より一層の都市化が進む中において、シンボリックな建造物を抱える市としてはそのバランスや、開発の手法が難しい。
 特に、熊本城を守りたいという市民の意識がかなり高いだけに、中心市街地の開発においては、条例においてそのバランス感覚が重要になると考える。
《調査所見》
 景観条例においては、まずは市民が本当に守りたいもの、残したい物を明確に定め、守るという意識が重要であり、何より市民の意識、協力の向上が必要不可欠である。
 市としても、開発する所、守るべき物を明確に定め、その景観自体が、企業や、住民プラスとなる様な計画を策定し、協力ではなく、その方向に進んで参加してもらえる様な宇都宮らしさを景観において創出すべきである。

《調査実施日 平成20年10月22日・23日・24日》

Ⅲ.旭川市
 「駅舎、駅前広場整備事業、北彩都あさひかわ事業について」

調査研究概要
【調査研究事項の概要】
 平成23年に完成する旭川駅の新駅舎の整備状況の視察を行った。
 宇都宮市も駅東口の整備に伴い、周辺整備が予定されているが、その事業手法、整備方針について視察を行った。
 本市との違いは、市民の意見、交通事業者などの意見を長期間、多くにわたり反映させている点にある。計画をつくった後、意見を求めるのではなく、意見を集約し、その後計画をまとめるといった手法の違いを感じた。
 北彩都を含め総事業費1,149億円の計画であるが、国、県、市の協力がよくできている印象が強く、事業費についても国や県との協力によってうまく実施できている印象を受けた。
 そして宇都宮市との共通点も多く、地域の中心地、JRの跡地の活用、駅舎の高架化など、事業費は大きいもののそのすべての問題を一つの事業としてとらえ、予算の削減や、利便性の向上など、大プロジェクトとして計画的に行われている印象を受けた。 (参考)説明後、駅舎の建築の状況や、北彩都の全体を駅前ビルの屋上より現状を視察させて頂いた。
《調査所見》
 平成10年度に開始した事業であり、長期間、莫大な事業費を要しているが、一つの大きな目標に向かい、多くの課題をひとまとめに解決をする手法としては、採算性からみても学ぶべきことが多い。
 また、市民の意見の集約など、その周知方法が緻密であり市民の意見の反映においては本市よりも進んでいる感じが強くした。

Ⅳ.稚内市
 「自然を生かしたまちづくり整備事業について」

調査研究概要
【調査研究事項の概要】
 本市においても水道送水管などの現有施設、自然、本市の特性を生かした、環境への取り組みを行っている中において、稚内市の自然を生かした事業を勉強した。
 特に宗谷岬ウィンドファームの57基を始めとする風力発電74基を市内に有しており、76,355ワットの規模を誇っている。
 併せて太陽光発電の実証実験も行われており、市をあげての自然エネルギーの活用を積極的に行っており、実際には浄水場動力源として利用し、動力費の削減が可能となるなど経済効果も現れていた。
〔今後の課題〕
 地球温暖化に対する対応等の観点からは有効性があるが、事業所、個人、家庭のレベルでの自然エネルギー活用も重要であり、行政としての限界も感じられた。
 自然エネルギーについてはその土地の優位性を見極めて、その土地にあった選択が重要となる。
 現在はまだ民間企業のノウハウ、資本力に頼らざるを得ない状況であり、企業の誘致なども併せた事業手法も考えるべきである。
 事業採算性としては厳しい面があり、自然エネルギー活用という観点から、国策として取り組む必要性を感じた。
《調査所見》
 環境問題を考えると自然エネルギーの活用は重要な施策であると考える。しかし、費用やノウハウなど行政としての限界も同じく感じた。
 民間企業の活用が主体となるが、費用対効果の面で、助成が鍵となり、大幅な進展は厳しいと感じるがその必要性は十分感じており、これからの国策としての動向に期待をし、本市の持つ力も見極めていきたい。

宇都宮市の現状と課題

景観形成重点地区の指定に向けた取組について

1 事業の目的
 本市では、平成20年1月に景観法に基づく「宇都宮市景観計画・景観条例」を施行し、第5次総合計画においても「魅力ある都市景観づくり事業の推進」を重点施策として位置付け、魅力ある景観づくりの取組を進めている。
 その取組の柱である「景観形成重点地区の指定」は、地域の個性や魅力を高める指定制度であり、これらの取組を進めることにより、本市が誇れる風格と魅力ある都市景観の創出を図るものである。



2 取組の経過
 平成20年8月にJR宇都宮駅東口地区を第1号に指定し、現在は、県都宇都宮の玄関口である「大通り地区」や「白沢地区」を「景観形成重点地区」の指定に向けて地元住民等と取組を進めている。
(1)大通り地区
平成 20年 10月 地元住民組織(大通り景観づくり検討会)の設立
11月〜 ワークショップ等を実施(〜2月)
平成 21年 3月 大通り景観形成ガイドラインの策定
7月 大通り景観づくり協議会(地元住民、関係機関)への体制強化
(2)白沢地区
平成 21年 8月 地元住民組織(白沢景観づくり検討会)の設立

3 今後の予定と取組内容
(1)大通り地区
平成 21年 7月 景観形成重点地区の指定に向けたルールづくりや活動※1の検討
〜11月 (協議会や地元意見交換会による素案づくり)
平成 22年 3月 景観形成重点地区の指定(景観条例の改正)
4月〜 重点地区の基準に合わせた修景※2(沿道建物や道路付属物の修景)
(2)白沢地区 平成 21年 9月 地元アンケート調査(景観資源、将来像等)
10月〜 ワークショップ等を実施(〜2月)
平成 22年 3月 白沢景観形成ガイドラインの策定
4月〜 景観形成重点地区の指定に向けたルールづくり

<参考>市の支援制度
※1活動交付金…重点地区指定に向けた活動に対する交付金(限度額 50万円/1団体)
※2修景補助金…重点地区指定後のルールに合わせた改修工事に対する補助金
(限度額 200万円/1件(工事費の2/3まで))





風格あるまちづくり研究部会からの提言
 この研究部会では、風格ある街づくりという視点で研究をしてきました。
 まず、風格ある街とは?という問題から始まりました。それは、市の取り組みすべてが風格ある街づくり(宇都宮らしさ)を追求しているからであります。その中で、現在の宇都宮市が抱えている課題を通して、風格ある街というものを検討していこうという方針の中で、2つの大きな課題を設定しました。
 1つ目は、宇都宮市の景観について
 2つ目は、駅東口の再開発についてであります。
 まず1つ目の景観についてでありますが、過去に宇都宮駅前の景観は日本一悪いという評価を雑誌においてされました。また、無秩序な開発や建築物の建設、乱立する広告物などにより宇都宮の景観というものは不調和が生じておりました。景観とは、都市の風格や魅力に直結するものであり、市民や来訪者の本市に対するイメージを形づけるものであります。そのような中、平成17年6月に景観法が施行され、その後本市において平成19年9月に宇都宮市景観計画が制定されました。
 この計画において、景観形成重点地区候補を選定するなど、箇所的に本市の文化的景観地域の保全がなされました。しかし、どの街においても課題として残っているのは企業広告などの屋外広告物に対しての規制であります。今回の計画においても新規設置広告物においてはある一定の効力を発揮しますが、それ以前の広告物に対してはそのまま継続できるのが現状であります。
 そのような中、宮崎市においては「九州一のまちづくり事業」の一つとして「九州一の景観都市づくり」を推進しております。
 その中で、宮崎市においては屋外広告物のコントロールとして、全市を地域特性に合わせて6段階に区分けをし、適切な基準を設定し、規制をしておりました。屋外広告物においても原則許可制となっております。また、建築物などについても、景観形成を進める上で指導要綱に基づく届け出を必要としておりました。そして、本市より進んでいる点は、景観の中に「緑」という観点を盛り込んでいる点であります。一定規模以上の建築物や開発を行う場合には、緑化計画書の届け出が必要となっており、多くの都市で、形や色に偏りがちな計画の中では特徴のあるものでありました。
 熊本市の景観について感じた点は、市民の意識の高さであります。計画自体は、他都市と大きく変わるところはありませんでしたが、一番の違いは、熊本市のシンボルが熊本城である、そのお城を守るためにはどうするか、という市民の方の意識がとても強く、市民が自主的に熊本市の熊本城というシンボルを守るために行動しているという点でありました。当然、中心部においても、お城の景観を損なうような建築物は存在せず、色彩についても配慮がなされておりました。
 この両市から得たものは、これからの自治体のイメージを作り上げる中で景観というキーワードをとても重視しているという点と景観とは作り上げるのではなく、自治体の文化や歴史を守るものであるという意識が強いという印象がありました。
 本市においても、まだ計画自体が制定されたばかりであり発展途上であります。また、市民の意識の醸成やこれまでの屋外広告物などへの規制など多くの課題が残されております。何より、宇都宮市の文化、歴史をふまえた上で宇都宮市のカラーを作り上げていく一つの手法として景観というものを積極的に利用すべきであり、重要であると考えています。

 2つ目は、旭川市においての駅周辺の再開発事業、稚内市の街の特徴を生かした開発についてであります。
 旭川においては、「北彩都あさひかわ」事業を視察しました。開発面積が86ヘクタール、総工費1,150億円の大事業であります。駅舎の新築、線路の高架化、区画整理事業、自然と街を繋ぐなどの事業を一元的に行う事業であり、大きな枠組みの中でも個々にその手法が考えられており、その結果市の事業費は670億円であり、その他は補助金等となっております。
 複数年にわたる大事業でありましたが、その事業手法は参考となるものでした。その事業のスタートは線路の高架化から始まり、JR保有地の跡地利用などから駅舎の立て替えへと進みました。箇所的な開発から始まったものが、86ヘクタールにも及ぶ街を作る事業へと進んでいきました。
 その中で、部分的な開発を大きな中心地を作る事業として発展させた手腕は評価をするものであり、新たな街作りの手法の一つであると考えます。部分的な開発によって時代の変化による調和性を損なうこともなく、大規模に行うことにより自然に配慮した開発となり、何より人が住める開発となっている部分は大いに参考となる事業でありました。
 しかし、事業規模の増大から、数年にわたる開発となり、その間の時代の流れの変化に対して柔軟に対応できないなどのマイナス面も垣間みることができました。今後の課題としては開発地域を面としてとらえ、全体的に開発をし、多くの資金を活用しながら人の住める新しい中心地の開発は多いに参考となるものでしたが、その時代の流れとのバランスをとるということが大きな課題であると考えます。本市の駅東口開発については、その時代の流れによって事業が頓挫した訳でありますが、今後活用できる資金の確保と駅東口を大きな面としてとらえ全体的にどのような街にするのかを検討するのが課題であると考えます。
 また、稚内市においては、大規模な風力発電施設、太陽光発電施設を視察し、その土地の特徴を生かした街づくりについて視察を致しました。
 本市においても、東京から100キロメートル、豊かな自然に恵まれ、人口規模も北関東一という特性を生かした街づくりを行うべきであると考えます。
 何より、これから都市間競争という概念の中で、他の都市にできないこと、宇都宮市にしかないものを作り上げていくべきであります。そのためにも、まずはこの宇都宮市の持つポテンシャルをいかに評価し、発揮していくかが課題になるかと思います。

 最後に、景観においても再開発についても一番の課題は、市民の意識の醸成と自分たちがどんな街にしたいのかというビジョンが重要であるかと思います。その中で市民にもより宇都宮市に愛着を持ってもらい、知ってもらうことが必要であります。
 これからの人口減少時代において、都市間競争がおこる現代において、街のイメージをつくる景観や駅前開発は宇都宮市の重要施策と言っても過言ではないと考えます。その中で必要なことは、明確な本市の意思を表明すること、その中で景観などの手法を有効に使うべきであると考えます。

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